カスタマーサクセスとは、顧客がサービスを通じて価値を感じ、満足できるよう支援し、継続利用やロイヤルティ向上につなげる取り組みです。
つまりカスタマーサクセスの取り組みにおいて成功とは、顧客の満足や価値提供を継続的に実現し続けることを指します。
本記事では、カスタマーサクセス実現の定義や背景、実践ポイントについて解説します。
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カスタマーサクセスの実現とは|事業の成果が測定可能な形で示せる状態
カスタマーサクセスの実現とは、顧客が自社製品・サービスを活用し特定の目的を成し遂げた上で、企業側も事業的成果を得られている状態のことです。
企業の事業的成果の判断には、以下の指標が用いられています。
- 顧客の継続率
- 解約率
- LTV
- アップセル率
- クロスセル率
顧客の成功を重視することで、上記の指標が改善され、事業の成長につながります。
顧客の成功へ向けて良質な体験を支援し、ロイヤルティ向上につなげることがカスタマーサクセス実現のポイントです。
関連記事:カスタマーサクセスとは顧客の成功を支える仕事!3つの役割や企業の成功事例をわかりやすく解説
関連記事:アップセル・クロスセルの意味とは?実現するために必要なポイント4つも併せて紹介
カスタマーサポートとの違い
比較項目 | カスタマーサクセス | カスタマーサポート |
姿勢 | 能動的 | 受動的 |
目的 | 顧客の成功体験に向けて課題を解決 | 顧客の課題を解決 |
主なKPI | LTV・顧客の継続率・解約率アップセル率・クロスセル率 | 顧客満足度・平均解決時間 稼働率 |
主なタイミング | オンボーディング(導入支援) アダプション(定着支援) リテンション(継続維持) アップセル・クロスセル | 顧客から問い合わせ・クレーム時 |
カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、顧客を支援する点において共通していますが、能動的価値の提供か、受動的なトラブル対応かの違いがあります。
カスタマーサクセスは、顧客が期待する価値の提供へ向けて課題を洗い出し、成功への道筋を能動的に実施します。
対して、顧客から問い合わせを受けてから受動的に対応するのがカスタマーサポートです。
カスタマーサポートとカスタマーサクセスは、顧客への姿勢をはじめ、目的・KPI・タイミングが異なります。
関連記事:混同しやすいKGI・KPIを、表を用いてシンプルに解説
カスタマーサクセスが注目される背景
カスタマーサクセスが注目される背景を3つの観点から解説します。
- サブスク・SaaS時代ならではの構造変化
- 既存顧客との関係構築の重要性
- SNS利用の一般化
サブスク・SaaS時代ならではの構造変化
カスタマーサクセスが注目されている背景には、サブスク型SaaSの普及があります。
SaaSとは、インターネット経由で利用できるソフトウェアのことで、月額課金制のサブスク型では、提供企業は顧客の解約を防ぐことが不可欠です。
そのため、顧客が継続的に価値を得られるよう体験を支援し、満足度を高める取り組みが継続的な収益を支えます。
バーチャレクス・コンサルティング株式会社が公表した「2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査(2)」によると、カスタマーサクセスの取組をしており、サブスク型商材の取り扱いがある企業の6割が効果を感じていると回答しています。
これはカスタマーサクセスの必要性が一層高まっていることを示しています。
参考:バーチャレクス・コンサルティング株式会社|2025年カスタマーサクセス日本市場動向&実態調査(2)
既存顧客との関係構築の重要性
企業の成長には、既存顧客の維持に注力した方がコストを抑えられる点も、カスタマーサクセスが注目されている背景です。
新規顧客は、既存顧客の5倍コストがかかるという考えの1:5の法則があります。
顧客と中長期的な関係が維持ことで、収益の安定性につながります。
関連記事:新規顧客獲得にかかるコストとは?CAC(顧客獲得コスト)の定義や重要性も解説
関連記事:新規顧客より既存顧客を優先した方が良いのはなぜ?重視すべき理由やポイントを解説
SNS利用の一般化
カスタマーサクセスが注目されている背景には、SNSの利用率も影響しています。
SNSの利用率は全世代で高く、商品やサービスを検討する上で欠かせないツールです。
拡散性の高さがSNSの特徴であり、自社サービスの評判に直結するため、顧客の満足度や成功体験が重視されています。
カスタマーサクセスを通じて顧客が成功体験を得られると、良い口コミや投稿が生まれ、新規顧客の獲得につながります。
対して、満足度が低いと負の口コミや投稿が拡散し、顧客喪失のリスクになるため、顧客の満足度や成功体験の維持がカスタマーサクセスの実現には必要です。
参考:総務省情報通信政策研究所|令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>
カスタマーサクセスを成功させるための3つのポイント
カスタマーサクセス実現のポイントを3つ解説します。
- 顧客の成功定義をセグメントごとに言語化する
- カスタマージャーニーに沿ったサクセスとKPIを設定する
- クロスファンクション体制で価値を創出する
顧客の成功定義をセグメントごとに言語化する
カスタマーサクセスには、顧客を属性や利用フェーズ、ニーズによって分類し、各グループに適した成功定義を言語化する必要があります。
セグメントごとに適切な対応をすることで、顧客満足度を高められるためです。
まずは、セグメントの顧客が、どのような状態になれば成功したといえるのか明確にします。
カスタマーサクセスには、以下3種類のタッチモデルが存在し、実施するアプローチ方法も異なります。
タッチモデル | アプローチ方法 |
ハイタッチ | 個別相談会や顧客とともにKPIの共同設定するなど、顧客別に接触を図る |
ミドルタッチ(ロータッチ) | 研修やミーティングなど顧客が必要とするタイミングで接触を図る |
テックタッチ | メール配信やQ&Aなど、多数の顧客をサポートする |
各セグメントにあわせて、カスタマーサクセスを実施することが大切です。
カスタマージャーニーに沿ったサクセスとKPIを設定する
顧客の成功状況を各段階ごとに定義できたら、達成度をKPIで測定します。
KPIの設定方法は、以下の通りです。
- 導入から継続利用に至るまでのカスタマーサクセスのジャーニーマップを作る
- 各フェーズごとに成功の定義を設定する
- 実際にKPIで数値化する
カスタマーサクセスのジャーニーマップとは、顧客が自社製品・サービスを利用することで成功体験を得て、自社の優良顧客である「ロイヤルカスタマー」になるまでのプロセスを示したものです。
作成することで、顧客理解を深められるため、適切な提案が可能になります。
KPIは、フェーズ別に設定することがポイントです。
たとえば、下記の指標が挙げられます。
- 導入初期:オンボーディング完了率
- 利用段階:継続率
- 継続利用段階:アップセル・クロスセル率。
カスタマージャーニーに沿ったサクセスとKPIの設定により、PDCAサイクルの基盤を作成できます。
クロスファンクション体制で価値を創出する
クロスファンクション体制とは、部門や組織を横断して連携しながらLTV最大化を目指すことです。
マーケティング・営業・プロダクト・カスタマーサクセスが連携し、情報を共有することで顧客に対して一貫性のある体験を提供できます。
顧客の状態を確認することも必要なため、CRMやSFAなどのツールの活用も効果的です。
体制構築とツールの活用により、カスタマーサクセスをより効率的に実現できるでしょう。
関連記事:CRMとSFAの違いとは?どちらを導入すべきか目的別に解説
BtoB・BtoC別|有名企業から学ぶカスタマーサクセス事例
カスタマーサクセスを実現した企業事例を2つ紹介します。
- Sansan|オンボーディングを重視し解約率低下に成果
- Apple|修理にとどまらないサポートにより既存顧客との関係維持に成功
Sansan|オンボーディングを重視し解約率低下に成果
名刺管理サービスを提供するBtoB企業のSansan株式会社は、2012年にカスタマーサクセス部を設立しました。
カスタマーサクセスの実現のために、Sansan株式会社は解約率低下を重視しています。
なかでも、サービスを初めて利用する顧客を対象とした支援となるオンボーディングに注力しました。
その結果、営業DXサービス「Sansan」の解約率は、2023年5月時点で0.44%と世界的に見ても低い結果になっています。
顧客のビジネス成功に焦点を当てた支援を提供し、カスタマーサクセスを実現した事例です。
参考:Sansan株式会社|Sansanのカスタマーサクセスは企業変革コンサルで顧客を成功に導く
Apple|修理にとどまらないサポートにより既存顧客との関係維持に成功
iPhoneで知られており、BtoC商材を扱うAppleは、Genius Barによりカスタマーサクセスに成功しています。
Genius Barは、Applestoreの店舗内にある修理窓口です。
Applestore及びGeniusBarを設けた理由は、従来の家電量販店の店員にはApple製品の知識が不十分で、顧客の悩みと問題解決の相談に乗れなかったためです。
Genius Barでは修理だけでなく、専門知識を持つスタッフによる製品の使用アドバイスや相談対応を行う顧客体験の場にもなっています。
ニーズを満たしながら、顧客が安心して製品を使い続けられる仕組みを構築しました。
仕組み作りが、カスタマーサクセスを実現し、ロイヤルカスタマー獲得につながった事例です。
参考:Genius Barの予約とAppleサポートのオプション
カスタマーサクセスの成功には顧客との関係構築が重要
カスタマーサクセスの実現には、LTVの最大化と自社の売上向上を両立させる仕組みづくりが必要です。
そのためには、既存顧客との関係維持が重要であり、継続的に接点を設けることがポイントになります。
一度導入して終わりではなく、顧客とともに「成功体験」を積み上げることで、結果的に自社の継続的な成長へとつながるでしょう。
このような顧客との関係構築を進める手法の一つに、コミュニティ形成があります。
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カスタマーサクセスの実現を検討している方は、ぜひご活用ください。