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トンマナとは?クリエイティブ発注者として知っておきたいブランド表現の基本

2025年10月09日

トンマナは、コンテンツの一貫性を保つ上で重要な要素です。 効果的なブランディングには、“誰が見ても同じ世界観”を感じる状態をつくる必要があります。 本記事では、トンマナの概要や必要性、クリエイティブ発 […]

トンマナは、コンテンツの一貫性を保つ上で重要な要素です。

効果的なブランディングには、“誰が見ても同じ世界観”を感じる状態をつくる必要があります。

本記事では、トンマナの概要や必要性、クリエイティブ発注者として正しく伝えるコツを解説します。

ビジネスにおけるトンマナとは|コンテンツの一貫性を保つルール

ビジネスにおけるトンマナについて、以下2つの観点から解説します。

  • トンマナ(トーン&マナー)とは?
  • UIとデザインの中でトンマナが果たす役割

トンマナ(トーン&マナー)とは?

ビジネスにおけるトンマナとは|コンテンツの一貫性を保つルール

「トンマナ」とは、「トーン(Tone)」と「マナー(Manner)」を組み合わせた言葉です。

トーンは「調子」や「雰囲気」を意味し、ブランドやサービスが発する印象の方向性を示します。

一方で、マナーは「表現上のルール」や「統一のための約束事」を指します。

色づかいやフォント、画像のトリミング、言葉づかいなど、トーンを一貫して伝えるための具体的な表現ルールがマナーです。

トンマナとはブランドやサービスの世界観を統一的に伝えるための表現ガイドラインを指します。

具体的には、文字のスタイル(フォントや文字間)、色彩設計(ブランドカラーや配色バランス)、画像のトーン(明るさや質感)、文章の言葉づかい(敬語・口調など)を総合的に整えることです。

下記の項目がトンマナで注目する点の例です。

項目ポイント
・ベース・アクセント・文字色を決める
・使用するのは2~3色にする
フォント・ターゲットに受け入れられやすく、かつ世界観が伝わるフォントを選ぶ
レイアウト・サイト内で一貫性がないとならないよう、改行の位置などのルールを決める
文章・ですますなどの文末表記や用語の統一などを決めておく
素材・シャープや丸みなど、素材の形も雰囲気に合わせて統一する

トンマナが整っていれば、顧客は企業の価値観や世界観を直感的に理解できます。

UIとデザインの中でトンマナが果たす役割

用語概要
UI・User Interface(ユーザーインターフェイス)の略称で、顧客が自社商品やサービスを利用する際の接点を指す
・ボタンの配置やレイアウト、アクセシビリティなどが含まれる
デザイン・見た目の美しさや使いやすさに加え、目的に沿った快適な体験を実現するための設計

UI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーが情報を理解し、操作しやすくするための設計の仕組みを指します。

UIが目指すのは「誰もが迷わず使えること」。

ボタン配置、ナビゲーション、視線誘導など、ユーザーの行動を支える構造的な設計が中心となります。

一方、デザインはそのUIの設計を視覚的に形づくる行為であり、色・フォント・レイアウトなどの要素を通じてブランドのトーンやメッセージを具体的に伝えます。

デザインが「見た目の印象」をつくるのに対し、UIは「操作体験」をつくると言えます。

この両者をつなぐ軸となるのがトンマナの役割です。

トンマナがUIやデザイン全体に一貫して反映されることで、ブランドらしさと使いやすさが両立します。

たとえば、ボタンの形状や余白、配色、文字スタイルにトンマナのルールを適用することで、見た目と操作のトーンが統一され、ユーザーは自然に「このブランドらしい」と感じられる体験を得られます。

関連記事:UXデザインとは?マーケティング・広報担当者が知るべき基礎知識を解説

マーケティング施策においてトンマナを合わせる必要性

マーケティング施策において、トンマナを合わせる必要性を2つ解説します。

  • 顧客接点が多様化する中で一貫性が求められている
  • ユーザー体験とブランド信頼を両立できる

顧客接点が多様化する中で一貫性が求められている

顧客接点の種類は、SNSやLP、Webサイトなど多数存在します。

顧客行動の多様化により、顧客はさまざまなコンテンツで企業と接点を設けているため、一貫性のあるブランド戦略が重要です。

たとえば、Webサイトはスタイリッシュなイメージ設計にもかかわらず、SNSではポップな雰囲気だと顧客に対して伝わるイメージにばらつきが生じます。

トンマナの一貫性は、顧客の記憶に残りやすく、認知度向上が期待できるでしょう。

企業がどのように見られたいかを伝える要素となるブランドアイデンティティを確立するためには、トンマナを合わせる必要があります。

関連記事:LP制作の外注を成功させるには?事前に整理すべきポイントや成功のコツを解説

ユーザー体験とブランド信頼を両立できる

トンマナを合わせているコンテンツは、使いやすさや読みやすさに直結し、ユーザー体験とブランド信頼向上につながります。

一貫したコミュニケーション設計により、顧客は安心してコンテンツを利用できるためです。

また、ブランドの価値観にブレが生じにくくなることで、長期的な信頼関係の構築にも好影響を与えます。 

さらに特定のデザインやスタイルを継続的に使用することで、「この色といえばあの会社」といった印象が定着し、競合他社との差別化にもつながります。

クリエイティブ発注者としてトンマナを正しく伝えるコツ

クリエイティブ発注者として、トンマナを正しく伝えるコツを4つ解説します。

実際にトンマナを伝える際は下記の順番で整理しましょう。

  • ステップ1|ターゲットに何を伝えたいのか明確にする
  • ステップ2|イメージを具体化できる資料を用意する
  • ステップ3|色・フォント・レイアウトなど粒度を調整する
  • ステップ4|トンマナを言語化・視覚化するためのテンプレを作成する

ステップ1|ターゲットに何を伝えたいのか明確にする

トンマナを正しく伝えるためには、ターゲットを決め、どのようなことを伝えたいのかコンセプトを明確にする必要があります。

コンセプトを決めることで、訴求しやすいデザインや色、フォントをイメージしやすくなるためです。

また、ターゲットによって、キーワードに対する印象や感じ方は変わってきます。

たとえば、30代の働く女性をターゲットに「ナチュラル」「抜け感」をコンセプトとしたコスメを紹介する場合、淡い色やベージュなど、柔らかなトンマナが適しているでしょう。

クリエイティブデザインを発注する際、トンマナを正しく伝えるためにはコンセプトを明確にし、言語化することがポイントです。

関連記事:コンセプトデザインとは?誤解されがちなイメージとその重要性を解説

ステップ2|イメージを具体化できる資料を用意する

つぎに、ブランドイメージに近づくよう資料を準備しましょう。

文章や説明だけではイメージが掴めず、すれ違ってしまう可能性があるためです。

たとえば、ムードボードと呼ばれる、写真・色・フォント・質感・言葉などを1枚にまとめた資料を作成する方法があります。

下記のように、自社のブランドのイメージに近い画像や素材、色味やフォント、言語表現などを集めてまとめておくと、要望を具体的に伝えられます。

クリエイティブ発注者としてトンマナを正しく伝えるコツ

参考資料の選び方は、以下のとおりです。

  • 検索エンジンの画像検索機能
  • 画像検索プラットフォーム
  • 素材提供サイト
  • 他社のカタログやパンフレット

参考資料を活用すると、言語化が難しい部分でもイメージを伝えやすくなります。

また、参考資料はパワーポイントやドキュメント、共有プラットフォームなどにまとめ、共有できるようにしておくことが大切です。

ステップ3|色・フォント・レイアウトなど粒度を調整する

具体的なイメージができたら、トンマナで設定すべき項目の粒度を調整します。

粒度の調整により、コンテンツ全体に統一化が生まれ、ブランドイメージを強化できます。

たとえば、見出し・本文・ボタンなど要素ごとに「どの程度までルールを細かく決めるか」を整理します。

フォントサイズや余白、写真のトーン、言葉づかいのレベルまで統一するのか、それとも大枠の方向性に留めるのか。

粒度を明確にすることで、制作チーム全体で「迷わずに表現できる状態」をつくることができます。

写真やイラストを使用する際は、どちらかに統一するほか、「正面を向いてピースしているものではなく、自然体な表情の写真」など、ビジュアルイメージも一貫性を持たせましょう。

ステップ4|トンマナを言語化・視覚化するためのテンプレを作成する

最後にイメージの相違が起きないよう、トンマナを言語化・視覚化したテンプレートを作成します。

このステップでは、ステップ2で共有した「感覚的な資料」をもとに、最終的な表現ルールを定義します。

テンプレとなるステップ4では抽象度を下げ、誰が見ても同じ解釈になるよう具体的に示すことが目的です。

テンプレを整備することで社内全体に浸透し、俗人化を防ぎながら一貫性のあるコンテンツ制作が実現できるでしょう。

テンプレに含むべき項目は、以下のとおりです。

  • ブランド名
  • コンセプト
  • ターゲットユーザー
  • キーワード
  • 色やレイアウトなどのビジュアル要素
  • 文末表現やNG用語などの表記ルール

テンプレを共有する際は、トンマナの背景や目的を伝えると、よりイメージに近いデザインを制作できます。

コンテンツの効果を最大化させるためには、トンマナを正しく伝える準備が重要です。

トンマナが整っている企業事例

トンマナが整っている企業事例を3つ紹介します。

  • TIFFANIY&CO | 色と体験をつなぐ一貫したビジュアル戦略
  • Apple | ブランドアイデンティティを確立させ差別化を実現
  • Netflix | 世界観を統一化しユーザー体験の向上に成功

TIFFANIY&CO | 色と体験をつなぐ一貫したビジュアル戦略

ティファニーはジュエリーを取り扱っているブランドで、ティファニーブルーと呼ばれている配色が特徴です。

ブライダルジュエリーとしても知られており、ティファニーブルーボックスは永遠の愛の誓いを表現する不朽の象徴として知られています。

ティファニー ブルーはティファニーのラッピング、デザイン、広告などのあらゆるシーンにおいて常に同じトンマナで表現されています。

トンマナの一貫性により、「ティファニーブルーといえばティファニー」とイメージされ、ブランド力を高めた好例です。

Apple | ブランドアイデンティティを確立させ差別化を実現

Appleは余白を大胆に使ったミニマルなデザインと、グレーや白を基調とした無機質なカラーパレットを通じて、洗練されたブランドイメージを徹底しています。

無駄を削った美しさは、洗練されたすっきりとした印象を醸し出し、ブランドの清潔感や高級感を演出しています。

コピーライティングも、余計な装飾を避けたシンプルで直接的な言葉選びが特徴で、ユーザーに強いメッセージを残す設計です。

トンマナの完成度により、「Apple製品らしい」「Appleっぽい」といった表現が通じるほど、世界中でブランドイメージを確立しています。

完成された世界観でブランドを想起させる、代表的なブランディング成功例です。

Netflix | 世界観を統一化しユーザー体験の向上に成功

Netflixは、黒を基調としたダークトーンのトンマナを用いることで、シネマライクな世界観や没入感の演出に成功しているブランド事例です。

背景の黒と赤のアクセントが強いコントラストと共に作品の世界観へ引き込む効果を強めています。

このような没入型トンマナは、国内でも「ダーク・重厚感のある配色」として注目されており、Webデザイン事例としても高い評価を得ています。

没入感ある演出で、UXとブランドを融合させた秀逸な事例といえるでしょう。

トンマナを設定して自社のブランド力を高めよう

トンマナの一貫性は、安心感を与えられるほか、自社の世界観やコンセプトを伝える上で重要です。

誰が見ても同じ世界観を感じる状態をつくるには、UIや写真、コピー、モーションなど複数領域の一貫性が欠かせません。

多面的な設計には横断的な視点が必要になるため、専門的な知識が重要です。

kazeniwa Creative Teamでは、貴社のブランドに最適なトンマナを一緒に設計・言語化し、SNSや広告施策に落とし込む支援を行っています。

統一感のあるクリエイティブで、伝わるブランド体験を設計したい方は、お気軽にお問い合わせください。

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